膝の痛み対策PREVENTION FOR KNEE

変形膝関節症について

多くの方が悩む「変形膝関節症」。より詳細のメカニズムや治療、ケアの方法のご紹介です。

変形性膝関節症の治療・ケア

急な痛みや腫れには
「まずは安静」
  • 膝痛になる要因として多いのは、普段運動していない人が急に長く歩いたり、山登りに行ったり、運動会で走ったりするなど、日ごろ行わない急な負担をかけた時です。その負担によって膝の中で炎症が起き、痛み、腫れ、水がたまります。そうした場合、まず大事なことは、それ以上の負担をかけないことです。
    普段から運動を続けている人は、痛みがあっても無理に運動を続けがちです。負担をかけたあとの痛みは、すぐに収まる程度であれば続けても構いませんが、翌日まで痛みが持ち越すようなときは、3日から1週間程度、運動を中止して、膝や筋肉を休ませてください。そして、生活の中での必要最小限の動きにしていれば、炎症が治まって痛みが徐々に引いてきます。打撲などの場合に、しばらく安静にしておくと腫れが引いていくのと同じです。痛みが減ってきたら、痛む前の半分程度の運動から再開してください。

    繰り返しますが、運動の時だけ痛くて運動を終えたらすぐ消えるような痛みなら気にしなくて構いませんが、翌日、翌々日まで痛みが続くようなら、思い切って休むことが大事です。

    1週間たっても治らない時は、やはり整形外科で治療を受けるべきでしょう。さきほど申し上げた炎症の悪循環に陥ってしまいますと、3か月間も「水」がたまり続けることもあります。整形外科では注射で炎症を抑えたり、薬を処方してくれたりします。
  • 整形外科での治療は「保存療法と手術療法」
    変形性膝関節症は重症度(進行度)に応じて治療することが効果的です。整形外科での治療は、主に保存療法と手術療法があります。

    <保存療法>

    ①痛み止めの内服、外用薬(湿布、塗り薬)

    一般的に、痛み止めは対症療法です。ただ、通常の痛み止め炎症を鎮める薬なので、一過性の痛みは痛み止めで治ってしまうことがあります。
    強い痛みを我慢するより、痛み止めを飲む方が身体によい場合もあります。

    ②注射(ヒアルロン酸)

    ヒアルロン酸の注射は、軟骨、関節液の重要な成分で、潤滑成分として軟骨表面の保護をします。

    ③注射(ステロイド)

    炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高い治療になります。
    頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまいますが、2ヶ月から3ヶ月に1回なら安全です。

    <手術療法>

    多くの場合、膝の痛みは筋肉を鍛えたり、体重を落としたり、無理な負担を避けたりといった自分でできる予防・改善策を実行し、整形外科などで薬や注射などの治療で改善することが多いものです。しかし、軟骨の摩耗や骨の変化が強い場合や、O脚が強い場合、膝がまっすぐ伸びない場合などは、強い症状が慢性的に続き、なかなか良くならないことも少なくありません。こうした場合は、手術を選択することになります。

    ①人工関節手術

    変形性膝関節症に対してもっとも多く行われている手術は、人工関節手術です。日本で年間8万件の人工膝関節手術が行われています。人工関節と言うと、膝の上下で骨を切って 蝶番(ちょうつがい)を付けるようなイメージがあるかもしれませんが、傷んだ関節の表面を数ミリ程度切除して、金属のかぶせものをするのが手術の内容です(関節面全体を金属に置き換える全置換術と、傷みのある片側だけを置きかえる片側置換術があります)。手術後は、翌日から数日で立ったり、歩いたりするリハビリが始まり、2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻ることができます。
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    人工関節は主にチタンやコバルトクロムといった金属でできています。レントゲンでは金属は白く見えます。手術後の写真の左側は、大腿骨を正面からみたもので、右側は横から写したものです。痛んだ軟骨や骨を数ミリ削り、そこに人工関節をはめ込みます。すねの骨の部分は、上端を水平に切って、楕円形のトレイを置きます。こうすれば、関節表面が人工物になりますので、痛みがなくなります。ちょうど、歯医者さんで虫歯を削って金属やセラミックのかぶせ物をすると、痛みなく物が噛めるようになるのと同じです。ただ、手術後しばらく経過したあとでも筋肉の張りや痛みが残る場合もあります。

    この手術は傷んだ軟骨や骨を替えることだけが目的ではなく、膝の痛みを軽くし、膝の機能を改善することが目的です。つまり、痛みがなくよく歩ける膝にすることです。

    ②骨切り術

    膝の内側に病変部があり、歩行時等には、内側に荷重がかかり強い痛みが起こり、下肢がO脚に変形してしまう(内反変形)疾患に対して行われる手術です。
    内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を、正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。
    手術後は、自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善され、スポーツや農作業等の重労働にも耐えられます。時間の経過とともに、筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴でもあります。
    膝の変形が少ない方、可動域が良い方、重労働を行う方、スポーツをしたい方等が良い適応でありますに適しています。
    また強力な内固定材料の開発、人工骨の使用、リハビリの工夫等により、高齢者の方で骨が弱い方でも安全に行われ、年齢に制限なく行える手術であります。
    膝の下にある脛の骨(脛骨)の一部切除や、切り込みを入れて変形を矯正します。矯正後は金属製のプレートで固定し、骨切り部には必要に応じて骨移植(自家骨や人工骨)をします。
  • 改善・予防には「筋力獲得」
    膝痛を放置しておくと、炎症が続いて軟骨や骨が徐々に傷んできます。O脚が進行するところまでいってしまうと、軟骨への負担がさらに強まるので、なかなか元へ戻せません。まずは改善・予防として痛み始めの段階で修正することが大切です。
    そこで、効果的なのは筋力をつけることです。筋肉を鍛えると、膝の痛みが緩和します。これは筋肉がしっかりすることで、関節が安定した状態で動き軟骨のすり減りを抑えられるからです。軟骨の磨耗を防ぐには、筋力を鍛えることが効果的です。膝関節に関する筋力の動きは主に3つの役割があります。

    ①関節を動かす


    ②関節を安定化させる

    骨だけではバラバラに。靭帯でつながっていてもグラグラします。筋肉にしっかりおおわれることによって安定化します。

    ③関節面への衝撃を緩和する

    調整しながら“そっと”荷重をかけることがポイントです。足がつくタイミングに合わせて、わずかに膝を曲げることにより緩衝します。筋力の増強により、この緩衝作用が働きやすくなり、関節面の負担も軽減することにつながります。

    また、肥満は膝痛の重要な発症要因、進行要因になるので、太り過ぎには注意が必要です。まず、体重の5%ぐらいを落としてください。50キロの人なら2.5キロでいいわけですから、無理な目標ではありません。

    無理せず、毎日運動を続けるよう心掛けましょう。